よくあるご質問

労働問題

従業員のマイカー通勤と会社の責任

当社の従業員Aがマイカーで通勤中に事故を起こし、被害者は重傷を負って入院中ですが、間の悪いことに、任意保険の継続をうっかり忘れていたとのことで、自賠責保険しかない状態になっています。被害者の家族から、いろいろ聞かれているのですが・・・。

被害者の家族からは、休業補償や今後後遺症が発生した場合には、会社が責任をとってくれるんでしょうね、と聞かれて、当社は大変困っています。会社はこれを支払わなければならないんでしょうか。

相談者のカット

答えの前に、いくつか確かめたいことがあります。あなたの会社は、従業員にマイカー通勤を認めていますか?

弁護士のカット

認めています。

相談者のカット

マイカー通勤者に対する通勤手当はどうしてますか?

弁護士のカット

通勤距離に応じたガソリン代を計算して、通勤手当としています。

相談者のカット

Aさんの職種は何ですか?内勤か営業等の外回りか、また、内勤だとして、仕事上外に出かける機会があって、マイカーを使用したりすることはありますか。

弁護士のカット

Aは内勤で、外回りの機会はありません。一般にうちの会社は、外回りの人には社有車を使用させますので、マイカーを業務で使用することはありません。

相談者のカット

Aさんは、マイカーは通勤のみに使用していたというわけですね。そうすると、このような場合には、会社は被害者から責任を問われない可能性が高いですね。

もっとも、福岡地裁平成10年8月5日判決(判例タイムズ1015号207頁)のように、マイカー通勤を会社が容認しているというだけで、会社の使用者責任を認めた裁判例もありますから、おたくの会社も被害者から訴えられる可能性はありますが、一般論として言うならば、単にマイカー通勤を認めているだけで、業務にマイカーを使用させることが一切ないならば、マイカー通勤の際の事故で会社が責任を問われることはないというのが大方の裁判例です。

でも、この福岡地裁の例もありますので、マイカー通勤を認めるのであれば、会社は、従業員の任意保険加入を義務づけて、毎年定期的にその加入状況をチェックして、任意保険の保険証券を提出できない人のマイカー通勤を禁止するくらいの措置を執る必要がありますね。

弁護士のカット

ひとまず安心しました。アドヴァイスを守れるよう会社で十分検討します。

相談者のカット