決議文・意見書・会長声明
安全保障関連法の採決に抗議する会長声明
2015.09.24
- 国会参議院は本日,安全保障関連法案を与党と一部野党の多数により採決し,成立させた。本法は,存立危機事態のもとでの集団的自衛権行使を容認するとともに,自衛隊が他国軍を後方支援し,あるいは駆け付け警護することなどを認めるものとなっている。
- しかし,集団的自衛権行使の容認は,憲法改正手続を経ることなく実質的に憲法9条を改変するものであって,立憲主義に違反する。そのことは,憲法学者や歴代内閣法制局長官,弁護士会等,多数の法律専門家によって指摘されていた。
また,後方支援や駆け付け警護等の新たな自衛隊の任務は,自衛隊員が他国民を殺傷し,殺傷される関係に入る事態をもたらさないか強く危惧される。その危惧は国会審議における政府答弁によっても払拭されなかったと思われる。
- 本法には多数の国民が反対し,国会を取り囲む行動等,全国各地で反対の声が広がった。世論調査によれば,本国会での成立に反対する者は7割に上った。当会も7月8日,「集団的自衛権行使容認に反対し、安全保障法制関連法案の廃案を求める決議」を挙げている。そして,政府も本法に対する国民の理解が進んでいないことを認めていた。
それにもかかわらず本日,こうした国民世論を押し切って本法の採決が強行されたことは誠に遺憾である。
- 本法は成立したが,恒久平和主義を謳った日本国憲法の規範的価値は揺るがない。本法は違憲の法律であり,今後,本法の発動を阻止し,さらにはこれを廃止することが求められる。その上で,安全保障政策の在り方について,憲法に適合するよう,改めて議論がなされるべきである。
以上,当会は,立憲主義を堅持し,基本的人権を擁護する法律家団体の立場から,本法の採決に強く抗議するものである。
2015年(平成27年)9月19日
富山県弁護士会 会長 水谷 敏彦