北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
再雇用で手当や賞与なくなった
2026.08.19
北日本新聞掲載 2026年8月8日
執筆者:西山 貞義 弁護士
定年後再雇用で働いていますが、定年までは支給されていた手当や賞与がなくなりました。何か請求できないでしょうか。
正社員と再雇用者の間で「不合理な待遇差」を設けることは法律で禁止されています。裁判例上は、定年後の再雇用であること自体が待遇差を正当化する事情の一つとして考慮されるのが一般的です。そのような事情を含めさまざまな事情を考慮して、手当や賞与をなくすことが不合理と判断される場合は、手当や賞与の請求が可能です。
まず、手当については、手当の支給目的ごとに判断することになります。たとえば、仕事の内容が定年前と変わらない場合、皆勤手当や精勤手当のように「出勤を奨励する」目的の手当を再雇用後に一方的に廃止することは不合理と判断される可能性が高いです。最高裁判所の判例でも、職務内容が同一であれば再雇用者にも精勤手当を支給すべきとされています。
他方で、賞与については、減額や不支給が認められやすい傾向にあります。裁判例でも、職務内容の差異や、年金・給付金の受給状況などを踏まえ、再雇用者の賞与の不支給を「不合理ではない」と判断した事例があります。
もっとも、定年前と比べてあまりに大幅な賃金低下が伴っている場合など、賞与の不支給が不合理と判断される場合には、賞与の請求が認められる場合もあります。
いずれにせよ難しい法的判断が求められますので、削減された手当の趣旨やご自身の仕事内容、正社員との賃金差等を整理し、弁護士に相談されることをお勧めします。