北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

無料求人広告でトラブル

2025.12.17

北日本新聞掲載 2025年12月13日

執筆者:春山 然浩 弁護士

無料求人広告の勧誘を受けて依頼したところ、無料期間が過ぎたら自動的に有料になるとして高額な掲載料の請求を受けました。

無料求人広告を巡るトラブルが今も続いています。よくあるのは、広告業者から電話で「無料で求人広告を掲載できる」と勧誘され、「無料なら掲載する」と答えて契約を結ぶと、実はその契約書には「無料期間が過ぎたら自動的に有料になる」と書かれており、しばらく後で、業者はそれを根拠に、有料期間に入ったとして掲載料の支払いを請求してくる、というものです。

少し前は、契約前に有料との説明を全くしておらず、勧誘を受けた側の読み落としを狙っているケースが大半でした。しかし最近は、業者が契約前に、無料期間が過ぎたら有料になるので無料期間のうちに解約する必要があることを一応説明しているものの、いざ解約しようとしたら所定の手続きにのっとっていないとして解約を否定するケースや、「無料期間終了前に業者からリマインド(再確認)の連絡をする」と言ったのにその連絡がなく、解約がないまま有料期間に入ったケースなど、有料と知らなかったと言わせないように手口が進化しています。

広告業者といっても同じ電話番号で屋号をころころ変えるなど実在が怪しかったり、また広告といっても業者自身のサイトに掲載するだけで効果が不明なものも多く、業者の実態は、無料をうたいながら勧誘を受けた側の落ち度に乗じて掲載料を請求するという悪質な者と思われます。

このため、まずは飛び込みの無料求人広告の勧誘を受けても、真に受けずに断るべきです。

また、万一引っかかって掲載料の請求をされても、「有料の契約は成立していない」「契約は錯誤によるものだから取り消す」など、請求を拒む主張ができる可能性があります。実際、弁護士が介入すれば掲載料の請求が止まるケースが多く、業者の請求を退けた裁判例も複数あります。反対に、裁判例があるということは、業者からの請求を放っておくと訴訟を提起されることもあるということです。請求を受けたら直ちに弁護士にご相談ください。