北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
再犯を防ぐために
2025.12.17
北日本新聞掲載 2025年11月8日
執筆者:神保 壽之弁護士
罪を犯した人の再犯率は高いという報道を目にしましたが、うまく社会に受け入れてもらえないことが一因だと思います。弁護士さんはそんな人の弁護はどうしているのでしょうか。
刑事弁護人は情状弁護活動として、一般的に被疑者・被告人の帰住先や身元引受人の確保といった「環境調整活動」を行うことが少なくありません。とりわけ受け入れ環境の整備が重要なのは、高齢であったり障害があったりする被疑者・被告人です。
20年ほど前から、社会と刑務所の行き来を繰り返す累犯障害者・高齢者の存在に注目が集まってきました。その後、各都道府県には、高齢または障害のある受刑者の出所後の支援(出口支援)を行う地域生活定着支援センターが設置されました。
最近は捜査中の被疑者、裁判中の被告人に対する支援(入口支援)も重要であるとして、同センターは被疑者等支援業務・相談支援業務を通じて、入口支援の活動も行っています。富山県弁護士会は同センターと連携協定を結んでおり、刑事弁護人が、自分が担当する被疑者・被告人に関し、福祉手続きなどの支援を依頼することができるようになっています。
そのほか刑事弁護人による福祉的アプローチとしては、被疑者・被告人が再び犯罪に至らないように、社会福祉士などの福祉の専門家に、どんな支援が必要かを検討の上、更生支援計画書を作成してもらい、これを検察庁や裁判所に出すという活動を行うこともあります。
このような更生支援計画書については、被告人が保護観察を受けたり服役したりする場合も、日弁連と法務省の取り決めにより、弁護士から保護観察所や刑務所に計画書を送付するというスキームがつくられています。