北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
遺言 作成時の注意点は?
2025.10.23
北日本新聞掲載 2025年9月13日
執筆者:片口 浩子 弁護士
遺言を作成するときに注意する点はありますか? 遺産は預金のほかに不動産や株式もあります。自宅と株式は長男に、貸アパートは次男に継いでほしいです。財産の一覧表もあった方がよいでしょうか。
遺言を作成する際には、読んだ人に遺言内容が間違いなく伝わるように書きましょう。内容が不正確だったり不明瞭だったりすると、十分に効果を発揮できません。相続登記などの手続きができなかったり、遺言の解釈を巡って相続人の間で争いが起きたりすることもあります。どの財産を指しているのか、正確に記載する必要があります。
特に注意を要するのは不動産の記載です。住居表示と土地地番は異なることもあります。登記事項証明書などで地番を確認するのがよいでしょう(手がかりは、固定資産税の納税通知書または課税台帳写しです)。一体として利用している土地でも、複数の地番として登記されていることもありますので、漏れがないようにしてください。
そして相続人に相続財産の内容が分かるよう、相続財産を網羅した財産一覧表を作成しておくとよいでしょう。財産の調査がしやすくなります。
遺言は手書きすることが必要ですが、添付する財産一覧表については手書きの必要はありません。パソコンで作成して印刷したものや、登記事項証明書そのものを遺言書に添付しても構いません。ただし各ページに署名押印が必要です。財産一覧表を利用して正確に遺言を残しておくとよいでしょう。遺言の内容で悩まれた際は、ぜひ弁護士にご相談ください。