北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
私が亡くなった後、遺産はどうなりますか。また、遺言を残したいと思っていますが、どんな方法がありますか。
2025.07.14
北日本新聞掲載 2025年7月12日
執筆者:片口 浩子 弁護士
私が亡くなった後、遺産はどうなりますか。また、遺言を残したいと思っていますが、どんな方法がありますか。
遺言は亡くなった際、自分の財産(遺産)を誰にどのように残したいかなどの意思を伝える手段です。
遺言を残していた場合、原則その内容を優先して遺産が分割されますが、遺言がない場合は、民法のルールに従うことになります。民法には相続できる人(法定相続人)や相続する割合(法定相続分)が定められており、法定相続人全員での遺産分割協議により、遺産の分割の方法を決めることになります。
そのため、法定相続人以外にも財産を残したい場合や特定の財産を特定の相続人に相続させたい場合などには、遺言書を残しておく必要があります。
遺言には大きく分けて、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。秘密証書遺言もありますが、利用数が少ないため、今回は省略します。
「自筆証書遺言」は、遺言の内容を手書きして作成する遺言書です。費用がかからず、いつでも手軽に書き直せます。他方、一定の要件を欠くと無効になってしまい、遺言書の紛失や書き換えのおそれもあります。また遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で、遺言書の内容を確認する「検認」手続きを行う必要があります。なお遺言書の紛失や書き換えを防ぐ方法として、近年、法務局で遺言書を保管してもらう制度ができました。
「公正証書遺言」は、証人2人以上に立ち会ってもらい、公証人に作成してもらう遺言書です。公証人が作成するため、無効になる可能性が低い上、原本は公証役場で保管するので、紛失や書き換えの恐れもなく、検認も必要ありません。他方、費用や手間はかかってしまいます。
ご自身のニーズに合わせて、どの遺言書にするか選びましょう。