北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
レスキュー商法に注意
2025.02.10
北日本新聞掲載 2025年2月8日
執筆者:小林 大記 弁護士
水回りトラブルが起き、ネットで見つけた低価格の業者を呼んで、作業をしてもらったのですが、数十万円を請求されました。払わないといけないでしょうか。
トイレの詰まりや電気のトラブル、害虫・害獣の発生など、急な暮らしの困りごとに対して「安価に対応してくれる」というネットなどの広告を信用し、呼びよせた業者から、高額の請求を受けるという被害が近年、全国で増加しています。
こうした手法は「レスキュー商法」と呼ばれます。中には、全く必要がないと思われる工事や、素人が行ったとしか思えない工事をしていく極めて悪質なケースもあります。
ご相談のケースは、特定商取引法上の「訪問販売」に該当すると考えられるため、クーリングオフの対象となると思われます(自分から業者を呼んだ場合でもクーリングオフできる可能性があります)。
この場合、仮に作業が終わっていたとしても、法律で決められた期間内にクーリングオフを行えば、支払いをする必要はありませんし、仮に支払いを済ませていたとしても法律上は全額の返金を求めることができます。
また、悪質なケースは不法行為による損害賠償請求の対象にもなります。ただし、クーリングオフや損害賠償請求を行っても、返金などを強硬に拒む業者もあるようですので注意が必要です。
昨年12月、弁護士会で行った無料相談にも多数の相談が寄せられ、被害の深刻さがあらためて浮き彫りになりました。まずは、このような悪徳商法があることを十分に認識し、例えば、あらかじめ信頼できる業者を探しておくなどして、被害に遭わないようご注意ください。
またクーリングオフによる救済の対象になるケースも多いと思われることから、「被害に遭ったかも…」と少しでも思った場合は、一人で悩まず、すぐに消費生活センターやお近くの弁護士などにご相談ください。