北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

18歳に少年法は適用される?-「特定少年」として取り扱い

2024.06.08

北日本新聞掲載 2024年6月8日

執筆者:弁護士 加藤 翔

私の子は18歳になって間もなく強盗の罪を犯して逮捕されました。2021年に少年法が改正されたと聞きましたが今後、大人と同様に刑事手続きで処罰されますか。

改正少年法においても20歳未満の者を「少年」とする規定に変更はありません。これは18歳、19歳の者も未成熟で大きく変わることのできる性質(可塑性)に富むことから、引き続き少年法の適用対象とすべきであると考えられたためです。

この結果、18歳、19歳が罪を犯した場合でも、刑事手続きではなく少年法が定める手続きのもと事件処理がなされるのが原則であり、今回逮捕された少年の事件も捜査機関の捜査を経て家庭裁判所へ送られます。

他方で、選挙権年齢や成年年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、改正少年法では18歳、19歳を「特定少年」として17歳以下とは異なる取り扱いがいくつか定められました。

その一つとして「原則逆送対象事件」、すなわち少年法が定める保護処分でなく、刑事処分を相当として刑事手続きを受けさせることを原則とする事件の範囲を拡大し、死刑・無期又は短期1年以上の懲役・禁錮の罪を18歳、19歳の時に犯した場合を原則逆送の対象としました。これには強盗罪、不同意性交等罪、放火罪などが含まれます。したがって18歳の時に強盗の罪を犯した場合、原則逆送対象事件になります。

もっともその場合でも犯情(犯行の動機、態様、結果)のほか要保護性(少年の性格や環境に照らし将来再非行を行う可能性)も考慮して逆送せずに少年法の保護処分もできるとされており、家庭裁判所が十分な調査を行った上、刑事処分(逆送)と保護処分のいずれが適切かを慎重に判断することになります。