北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

離婚時の養育費 増額できる?-事情変われば認められる

2024.05.11

北日本新聞掲載 2024年5月11日

執筆者:弁護士 青島 明生

離婚の際に決めた養育費額は、事情の変更を理由に増額(または減額)を求めることができますか?また成年年齢が18歳に引き下げられましたが、支払期間は短縮されるのでしょうか。

離婚時に取り決めた養育費額が実情に合わなくなったときは、これを変更することができます。その方法は、当事者同士の話し合いによる合意▽合意が得られない場合には家庭裁判所の調停▽調停が不成立なら審判-があります。

審判手続きで増減請求が認められるためには①事情の変更②それが以前の合意当時、予測不可能だったこと③増減の必要性(不公平性)-が必要です。以前定めた際には将来のことも考慮して定めたはずなので、単に事情が変わっただけでは変更は認められませんが、これらの条件を全て満たす場合には、合意の範囲を超えたため合意を維持することは不適当と認められるからです。

認められる場合としては、当事者の収入の変化▽子どもの進学、病気など▽再婚での家族構成の変化-などがあります。

前回の合意からの期間が短いと認められにくくなります。合意をした時は一定期間継続することを前提として決めたとみられるからです。しかし、予想もつかない特別の事情があれば認められる可能性は出てきます。

養育費の支払いは20歳までが目安とされていますが、2022年の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられました。ただ、養育費の負担は子どもが経済的に自立するまでの親の義務であり、この引き下げで子どもの経済的実態が変わったとみられるわけではないので、影響はないとされています。