北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
被災して住宅ローン返せない-減免制度 利用できるかも
2024.03.09
北日本新聞掲載 2024年3月9日
執筆者:弁護士 橋爪 健一郎
地震によって自宅の建物が全壊しました。同じ場所で建て直したいのですが、 壊れた自宅の住宅ローンが1600万円残っていて、新たな住宅ローンが組めません。家族の収入は、年額380万円の私の給与収入のみで、資産は預貯金300万円と古い自動車が1台あるだけです。生活再建のために利用できる制度はありませんか。
住宅ローンやその他の負債は、被災しても原則として消えることはありません。住宅を再築するために新たにローンを組もうとすると、いわゆる「二重ローン」となり、また賃貸住宅を借りるとしても、既存のローンと家賃の両方の支払いが必要となります。
このように被災によってローンの返済が困難となった方の生活再建のための制度として「被災ローン減免制度(自然災害被災者債務整理ガイドライン)」があります。能登半島地震で被災された方はこの制度の利用要件を満たし、債権者全員の同意が得られれば、被災によって返済ができなくなった負債の減額や免除を受けることができます。
この被災ローン減免制度は①破産の場合よりも多くの財産を手元に残せる②弁護士ら「登録支援専門家」の手続き支援が無料で受けられる③新たな借り入れの障害となる個人信用情報に登録されない-などのメリットがあります。住宅ローンだけではなく、個人事業者のローンなども対象となります。
この制度の詳しい説明や、利用するかどうかについては弁護士に相談することができます。県弁護士会では現在、震災に関する無料電話相談(0120-315-787)のほか氷見市、高岡市などの被災地や弁護士会館での面談による無料相談を実施しています。詳しくは弁護士会にお問い合わせください。