北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
「初回無料」「お試し価格」の注意点は?-契約条件よく読もう
2023.08.12
北日本新聞掲載 2023年8月12日
執筆者:弁護士 太田 悠史
通常価格3000円の化粧品が「初回限定お試し価格1000円」というネット広告を見かけ購入しました。その後、この契約は1年間に4回の定期購入が条件になっていると分かりましたが、購入の際の確認ページにはそのことは書いてありません。
ホームページやSNSで見かける健康食品や化粧品などの広告の中には「初回無料」「お試し価格」などと表示されているものが珍しくありません。そうした広告につられて「1回だけ」「お試し」のつもりで申し込んだら、実際には複数回の商品購入が条件となる定期購入契約だったというトラブルがあります。
通信販売の契約は、消費者自身が契約条件を十分に確認して、これに納得した上で注文することが前提ですので、販売業者が提示している契約内容に従うことが原則です。
しかし中には、商品の性能や価格面のメリットは強調されているものの、契約内容や解約に関する注意事項などの重要な表示については小さい文字で書かれているなど、消費者にとって分かりにくい通販サイトがあり、トラブルの原因となっています。
こうしたトラブルを防ぐため特定商取引法では、通販サイト側に注文確定の直前段階の「最終確認画面」において、分量、販売価格、支払時期、引き渡し時期、解除に関することなど契約の申し込みの内容を、簡単に最終確認できるように表示することを義務付けています。
今回の相談のように、通販サイト側が契約の申し込みの内容について表示していない場合や、事実と異なる表示や消費者を誤認させるような表示を行った場合、これにより誤認して申し込みをした消費者は申し込みの意思表示を取り消すことができます。
トラブルに巻き込まれないために、通販サイトで買い物する際は「最終確認画面」をよく見て、定期購入が条件になっていないか確認しましょう。定期購入が条件になっている場合には、継続しなければいけない期間や購入しなければいけない回数がどのように定められているかなど詳しい内容をよく確認して、納得した上でご注文ください。解約に関する条件も確認してください。このような確認の際「最終確認画面」をスクリーンショットで保存しておくと、契約を取り消したいと思ったときの証拠になることがあります。
広告に大きく書かれたメリットばかりではなく契約に落とし穴がないかにも目を向けて、賢いお買い物を心がけましょう!