北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
16歳の息子が逮捕された-少年事件も弁護士が活動
2022.06.11
北日本新聞掲載 2022年6月11日
執筆者:神保 壽之弁護士
16歳の息子が友人とともにバイクを盗み、逮捕されてしまいました。今後の手続きや、親としてできることを教えてください。
少年法では20歳未満の者を「少年」と呼び、少年が罪を犯した事件は少年事件と言われます。逮捕された後の身体拘束は、少年も20歳以上の者も基本は同じです。逮捕が最大3日間、それに続く勾留が10日間、勾留期間が延長された場合にはさらに10日間、合計して最大で23日間、留置場等で身体拘束を受ける可能性があります。ただし勾留されないことや、勾留の途中で釈放される場合もあります。
20歳以上の者の事件では、犯罪の嫌疑があっても裁判まで行わず、刑事手続きが終了することがあります(起訴猶予)。しかし少年事件では、捜査機関が犯罪の嫌疑があると判断した事件は、全て家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。
家庭裁判所では、逃亡や証拠隠滅を防ぐ、または少年の心身を鑑別する必要があると判断した場合に、観護措置という身体拘束を行います。一般的には4週間弱の間、少年鑑別所で心理検査をはじめとする心身の鑑別調査が行われます。
20歳以上の者の裁判に当たる手続きが、家庭裁判所で行われる少年審判です。不処分、保護観察、少年院送致などの処分を決めます。少年審判では非行事実(犯罪)の有無のほか、再非行に陥らないための保護がどれだけ必要か(要保護性)も重視されます。非行事実自体は軽くても、要保護性が高い場合は重い処分となることもあります。
弁護士は、事件が家庭裁判所に送られるまでの間は弁護人、家庭裁判所に送られた後は付添人として、少年のための活動をすることができます。具体的には、早期の釈放に向けた手続き、取り調べを受ける際の助言、被害者に対する弁償や示談、環境調整など、できる限り有利な処分が得られるような活動を行います。
親御さんとしては弁護人、付添人と対応を協議すること、少年と面会してよく話し合うこと、家庭環境の立て直しなどが有用だと考えられます。