北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

調停ってどんな制度?-話し合いで解決目指す

2021.09.11

北日本新聞掲載 2021年9月11日

執筆者:青島明生弁護士

親族間でトラブルがあり、話し合いで解決したいのですが、本人同士では感情的になってしまいます。あいにく間に入ってくれそう人が思い当たりません。このような場合、 調停がいいと聞きましたが、どういう制度ですか。

調停委員と裁判官でつくる調停委員会が間に入り、非公開で当事者同士が話し合い、紛争の解決を目指す手続きが調停です。裁判手続きに比べ、必ずしも法律に縛られず、実情に合った円満な解決を図ることができます。手数料も裁判に比べて安くなっています。

借金の催促や家屋の明け渡しなど民事の紛争を扱う簡易裁判所(例外的に地方裁判所)の民事調停と、遺産分割や離婚など親族間の紛争を扱う家庭裁判所の家事調停があります。民事と家事の紛争の種類に従って、どちらかの裁判所の窓口で申立書など必要書類を提出します。

窓口にはリーフレットなどの説明資料のほか、よくある紛争の種類ごとに定型の申立書やひな形があります。担当者から記載方法などの説明も受けられます。必要書類を提出すると、期日が決められ、当事者双方が呼び出されます。正当な理由なく欠席すると、過料を取られることがあります。

当事者双方は、顔を合わせないように別々の控室で待機し、調停委員のいる調停室で代わる代わる話を聞かれます。調停委員は、民間から選ばれた良識のある人たちが担当し、双方に公正中立に接して言い分を十分に聴き、お互いの歩み寄りを助け、合意に導く努力をします。1回の調停では時間や資料が足りず、解決の見込みがある場合は、日を置いて2回、3回と行われることもあります。

当事者間に合意ができると、その内容を調停調書という書面に記録します。これは訴訟の判決と同じ強力な効力を持ちます。合意が成立しないときは、調停は不成立となります。その場合には、訴訟(裁判)手続きでの解決を求めることも可能です。