北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

交通事故の示談額に納得できない-後遺障害の異議申し立ても

2018.05.12

北日本新聞掲載 2018年5月12日

執筆者:今村 元弁護士

道路を横断中に自動車にはねられ、すねの骨を折り、プレート固定手術を受けました。退院後はリハビリと経過観察となり、1年後にプレート除去手術をして治療を終えました。骨折部に変形が残り、ある程度の距離を歩くと痛みが出て、歩行困難となります。しかし、後遺障害の事前認定では非該当となりました。事故から治療終了まで1年以上かかったのに、加害者側は後遺障害による損害がないとして、ごくわずかな示談額を提案してきました。納得できませんが、どうすればよいでしょうか。

お気の毒な事故でしたね。後遺障害は、各地にある損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所がまず認定を行います。あなたは、ここで非該当と判断されたとのことですが、諦めることはありません。異議を申し立てれば、外部の専門家も委員として加わった自賠責保険審査会で改めて判断されますので、結論が変わることがあります。

異議申し立てをしても駄目だった場合でも、第三者機関である一般社団法人自賠責保険・共済紛争処理機構に調停の申し立てをすることで結論が変わることがあります。

あなたの場合、骨折部に変形が残ったために、その部分が何らかの原因で痛みを誘発している可能性があり、それが医学的に裏付けられれば「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)に該当する可能性が出てきます。12級だとすれば、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が損害に加算されますので、賠償額は大きく変わります。

後遺障害の認定の問題は、法律と医学が絡んだ難しいものになることがあるため、あなた一人では解決が困難だと思います。認定手続きがうまくいかなかったり、賠償額でもめたりすれば、訴訟手続きを行うこともあります。一人で抱え込まず、弁護士に相談されることをお勧めします。

相談の際には、あなたとご家族が加入している自動車保険の証券を全て持参してください。歩行中の事故でも弁護士費用特約(弁護士費用等を保険会社が負担してくれる保険)が適用になれば、弁護士費用や裁判費用の負担を心配する必要がなくなりますので、この点は重要です。