北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

離婚の取り決め 何が必要-合意内容 書面で交わす

2018.08.11

北日本新聞掲載 2018年8月11日

執筆者:谷口恭子弁護士

夫とは結婚して10年目で、2人の間には6歳の息子と3歳の娘がいます。夫婦関係は以前から良好ではなく、昨年から話し合いをしてきた結果、離婚することになりました。子どもたちの面倒を私が見ることは決まったのですが、それ以外にどのようなことを取り決めておいた方がよいのでしょうか。

将来に向けて人生の重大な決断をなさいましたね。

お子さんがいらっしゃるので、まずは子どもに関わる取り決めから見ていきます。

離婚後、子どもを育てていくためには経済的な基盤が大切です。毎月、元夫から受け取る「養育費」の額を相談して決めておきましょう。親権者が母親のあなたと決まった場合でも、父親である元夫には離婚後のお子さんの生活を助ける義務があります。

話し合いで養育費の額が決まる見通しが立たなければ、夫婦双方の年収額、子どもの年齢と人数によって目安額を算定できます。夫婦双方の年収額が分かる源泉徴収票や所得証明書(または非課税証明書)をお持ちになって弁護士にご相談ください。所得証明書(または非課税証明書)は役所の税務課で取れます。

また、離婚後、離れて生活する親が子どもと会うことを「面会交流」と言います。「月1回」といった頻度や時間、子どもの受け渡し方法などを決めることになります。

子どもの件以外にも、相談して決めておいた方がよい問題はいろいろあります。例えば、結婚後に夫婦で築いた財産(預貯金、不動産、保険、株式など)は夫婦どちらの名義になっていても、2人が協力して築いたものとして、離婚に伴い清算しなければなりません。これを「財産分与」と言います。財産の形成についての寄与や貢献の程度は一般的には平等であり、分与割合は原則として2分の1とされています。あなたが専業主婦であったとしても同様です。妻の貢献があるからこそ夫は仕事ができるからです。この他に年金分割の請求もできます。年金事務所で「年金分割の情報通知書」を取り寄せてください。

合意できた離婚の条件は書面で取り交わし、できれば公正証書を作成しておきましょう。養育費など金銭の支払いが滞った場合に強制執行を可能にするためです。

夫婦で話し合っても離婚の条件がうまくまとまらなければ、裁判所での調停や審判、裁判を利用できます。

いずれにしても、ケースによって検討すべき問題はそれぞれ違います。離婚をお考えになったときは弁護士に一度相談されることをお勧めします。結婚からこれまでの夫婦の間の出来事を時系列に沿って書いたものをお持ちになると助かります。