北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

逮捕された これからどうなる-最大20日間勾留も

2019.08.10

北日本新聞掲載 2019年8月10日

執筆者:佐藤大樹弁護士

交通事故を起こし,逮捕されてしまいました。しかし,私には養わなければならない家族がいますし,近いうちに大切な仕事も控えています。これから私はどうなるのでしょうか。

逮捕というと「自分とは縁がない」と思われるかもしれません。しかし,交通事故も刑事事件です。被害者のけがが大きい場合などには,逮捕されることもあり得ます。まず,逮捕された後の一般的な流れを説明します。

逮捕されると身柄を拘束され,3日以内に勾留か,釈放かが決まります。勾留されればそこから10日間拘束されます。勾留は最大20日まで延長可能でです。勾留期間が終わると,裁判・罰金・釈放のいずれかとなり,裁判の場合,拘束が続きます。裁判は,短いと2カ月程度で終わり,事実関係に争いがあり複雑な場合は長引きます。

今回の相談の場合,やったことは間違いないが,早く社会生活を送るにはどうすればよいか,ということですね。弁護士は勾留・勾留延長されないよう活動することも可能です。勾留されるのは「住居不定」「証拠を隠す理由がある」「逃亡する理由がある」のいずれかのケースです。これらに当たらなければ,勾留できません。できるだけ早く弁護士に相談してください。また,裁判になることが決まった後,保釈が認められれば身柄拘束から解放されます。

ほかにも逮捕された場合,本人や家族に起こりうる事例をいくつか挙げます。

逮捕から勾留までの間,一般の方と本人の面会はできません。その後も一般の方の面会は禁止されることがあります。しかし,弁護人の面会が禁止されることはありません。また,弁護人は,面会の禁止を解除するよう活動することも可能です。

時には身に覚えのない罪で逮捕されることもあります。

取り調べで話した内容は調書にまとめられます。取り調べに耐えかね,記憶とは違うことを話してしまう方もいます。しかし,調書がいったんできてしまうと「あの調書は違います」と言っても,なかなか聞き入れてもらえません。

逮捕されてしまったら,できるだけ早く弁護士と面会することが重要です。弁護士がすぐ見つからないときは県弁護士会へ連絡してください。その日の担当待機弁護士が「無料」で1回面会します。逮捕された人のために,警察官が弁護士を呼んでくれることはありません。本人であれば警察官に「当番弁護士を呼んでください」と言ってください。家族・知人からも依頼が可能です。