北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』
B型肝炎給付金の対象は?-条件をチェック
2020.09.12
北日本新聞掲載 2020年9月12日
執筆者:谷口 央弁護士
20歳の頃に献血した際、B型肝炎ウイルスに感染していると言われました。体調が悪くなかったのでそのままにしていましたが、昨年病院を受診したところ、このウイルスが原因で慢性肝炎になっていることが分かりました。感染者に、国から給付金が支払われることを聞きました。私は対象になるのでしょうか。
日本国内にB型肝炎ウイルスに持続感染している人が、110万人から140万人いると推計されています。このうち、1948年から88年までに集団予防接種(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際、注射器(注射針または注射筒)が連続使用されたことが原因で多くの方がB型肝炎ウイルスに持続感染したとみられています。その数は厚生労働省の推計で、最大で40万人以上いるとされています。
幼少期に受けた集団予防接種などが原因でB型肝炎ウイルスに感染した被害者らが、国に損害賠償を求め集団訴訟(B型肝炎訴訟)を起こし、2011年6月、国と原告の間で、被害者を救済するための「基本合意書」が締結されました。
これに基づき、12年1月13日から「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行され、裁判上の和解などが成立した被害者に対し、病態に応じて50万円から3600万円の給付金や訴訟手当金などが支給されることになりました。
給付金が支給される対象となる人は、①B型肝炎ウイルスに持続感染している方②満7歳までに集団予防接種を受けた方(ただし、1948年7月1日から88年1月27日の間に限る)③母子感染、輸血など集団予防接種以外の感染原因がない人-などの条件を満たす人です。なお、これらの条件を満たす人から母子感染した方や、これらの方々の相続人も対象に含まれます。
また、給付金の請求は期限があり、2022年1月12日までに請求する必要があります。この期限までに提訴し和解すれば、後に病態が悪化したとしても、その病態に応じた給付金(基本的には受領済みの給付金との差額)が受給できるので安心です。
1941年7月2日以降に生まれた方で、B型肝炎ウイルスに持続感染されている方は一度、弁護士に相談することをお勧めします。
詳しくは、厚生労働省のホームページで「B型肝炎訴訟」と検索してみてください。