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公判前整理手続マニュアル

Q11−1 裁判員裁判をにらんで、今後、公判期日の入れ方はどう変わっていくのでしょうか。

1 改正刑訴規則第217条の2第1項は、「裁判所は、公判前整理手続においては、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるように公判の審理予定を定めなければならない」と定めています。
 そして、改正刑訴法は、「審理に2日以上を要する事件」については「できる限り、連日開廷し、継続して」審理を行うべきとしているから(法281の6Ⅰ)、公判前整理手続によって実現すべき「継続的、計画的かつ迅速」な審理とは、連日開廷による審理ということになっています。
 現在、調書の作成の問題もあり、実務において連日開廷で公判審理を終わる例はまだ少ないようですが、将来、裁判員裁判になれば、連日開廷は必至です。調書については、当日印字したものを作成するのは難しいので、録音テープの貸し出し等も裁判所において検討されているようです(なお、規則47Ⅱでは、弁護人も裁判長の許可を受けて、録音等をすることができるとされています)。
 後述の公判期日までの準備の問題もありますので、公判前整理手続において、弁護側が十分な準備期間を確保できるように公判期日を設定すべきです。
2 因みに、平成19年5月15日現在で、名古屋地裁において、判決言渡のなされた事件あるいは判決宣告予定の既に入っている事件(合計11件)についての統計によれば、
(1) 証拠調ないし論告・弁論のなされた公判期日回数について
平均:3.04回、 最小:1回、 最多:10回
起訴日~判決日までの日数について
平均:195.25日、 最短:109日、 最長:387日
と全体的に短縮化されています。
(2) 更に、証拠調ないし論告・弁論の行われた公判期日の間隔について
平均:19.92日、 最短:0日、 最長:45日
証拠調ないし論告・弁論の行われた公判期日の間隔について(公判前整理手続16件に関して)
平均:14.5日、 最短:0日、 最長:35日
証拠調ないし論告・弁論の行われた公判期日の間隔について(期日間整理手続4件に関して)
平均:16.3日、 最短:7日、 最長:45日
となっています。
期日間整理手続は、否認事件で弁護人が積極意見を付した上で整理に付されているものが多いので、やや長期化のきらいはありますが、それでも期日間の間隔はかなり短縮されています。
(3) そして、連日開廷の実施状況ですが、
証拠調期日の間隔
連日開廷のなされた事件    :1
最短1日置き開廷のなされた事件:2
最短2日置き開廷のなされた事件:4
最短3日置き開廷のなされた事件:3
名古屋地裁では部毎に法廷が隔日開廷であることも併せ考えると、連日開廷あるいはこれに近い運用が徐々にではありますが、多くなってきていると言えます。
(4) 最後に、最終の証拠調期日から判決宣告日までの間隔
平均:29.4日、 最短:13日、 最長:60日
最終の証拠調期日に論告・弁論も行われている例もあり、かなりタイトになってきています。