北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

口座の強制解約通知 なぜ?

2026.05.20

北日本新聞掲載 2026年5月9日

執筆者:『暮らしの法律Q&A』担当者

私は、銀行に1000円ほどの預金を持っています。以前の住所で利用していたもので、まったく使わなくなった口座のため、持っていることを忘れていましたが、ある日突然その銀行から、残高がゼロになったので、強制解約する旨の通知が来てしまいました。どうして、こんなことが起きるのでしょうか。

現在、多くの銀行で未利用口座管理手数料(口座維持手数料とも言われます)というものが導入されています。これは、「2年以上入出金がない」かつ「残高が少ない」口座を対象として、年1000円あまりの手数料が徴収される仕組みです。

あなたは、そんな仕組みに同意したことはないかもしれませんが、この手数料制度は、普通預金規定という銀行が定めたルールによるものであり、預金者は、そのルールに拘束されることになっています。この普通預金規定をはじめ、世間には、1対1で契約を取り交わさなくても、企業や公共団体側が定めたルールが適用される仕組みが結構あります。運送約款、保険約款、電気、ガス、水道等の供給約款、宿泊約款などです。

民法548条の2では、あらかじめ表示されていれば、約款は効力を有することが定められています。そして、契約後に約款が利用者に不利に変更される場合についても、「契約目的に反しないこと」、「変更の必要性、相当性」、「合理的であること」等々の要件を満たせば、効力が認められることになっています(同548条の4)。

以上のことをまとめると、預金を開設する時には未利用口座管理手数料の定めがなかったとしても、前記の要件があれば、その手数料を取られることになります。問題は、不利益変更の必要性、相当性、合理性等が認められるかですが、昨今世間では特殊詐欺が横行していて、その手段として、未利用の口座が悪用されているという状況からすると、未利用口座を少しでも解消するのが社会的な利益に合致するという事情がありますので、やむを得ないものと思われます。