北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

賃料の増額・減額できる?-認められる可能性ある

2024.04.13

北日本新聞掲載 2024年4月13日

執筆者:弁護士 越後 雅俊

数年前の賃貸借契約時に、不動産の賃料を決めたのですが、現在の状況からすると妥当でないと思います。契約時に決めた賃料を増額したり、減額したりすることはできますか。

賃貸借契約で賃料を決めていても、その後の租税や不動産価格、物価、所得水準、近隣の賃料相場など経済事情に変動があった場合には、賃料の増減を請求することが法律上認められています。また2020年4月1日以降に賃貸借契約を結んだ場合、雨漏りや焼損、災害などで建物の一部が使用できなくなったときは、その割合に応じて賃料が減額されます。

このようなケースでは、当事者間で協議をして合意に達すれば自由に賃料を変えることが可能です。

しかし、賃料の増減は必然的に当事者のどちらかに不利益をもたらすので、当事者間の協議では合意に達しないことも多々あると思います。

その場合、物件所在地を管轄する簡易裁判所で賃料の増減を求める調停ができます。裁判官や調停委員を交えて話し合いをしますが、それでも合意できない場合は裁判が可能です。

裁判になった場合には、一般的に不動産鑑定士による適正な賃料の鑑定がなされ、最終的に裁判官が判決で新たな賃料を算定します。しかし、判決まで1年以上の期間を要することも少なくなく、高額の鑑定費用がかかる可能性があるので注意が必要です。

従って賃料の増額や減額を求めたい場合には、相手方に理由や事情をしっかりと説明して当事者間で合意することが最も望ましいと言えます。

賃料の増額・減額は難しい問題を含んでいますので、これらの請求をお考えの方は一度弁護士に相談されることをお勧めします。