北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

床上浸水被害への公的支援は?-罹災証明書が出発点

2023.09.09

北日本新聞掲載 2023年9月9日

執筆者:弁護士 木下 実

7月の集中豪雨により、木造2階建ての自宅が床上浸水しました。片付けは終えましたが、自宅の修理には相当の費用がかかりそうです。生活再建に向けて何か公的支援を受けることはできないでしょうか。

県内でも線状降水帯が初めて観測されるなど、各地で土砂崩れや住宅の浸水などの被害が発生しました。被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災者の皆様に対しては、生活再建のために、さまざまな支援制度が用意されています。

まずは、罹災証明書の申請が出発点となります。罹災証明書とは、住家が被災した場合に、その被害程度を証明するものです。市町村職員による被害調査が行われます。ご相談のケースでは、床上浸水とのことです。浸水の高さにより、全壊 、半壊などの被害認定がなされ、被害の程度に応じた支援制度が設けられています。

例えば、災害救助法が適用された高岡市では、中規模半壊の場合、災害見舞金(1世帯2万円)の支給、応急修理費用の支援(70万6千円以内)、賃貸型応急住宅(民間賃貸住宅の借り上げ)の提供、市営住宅の一時提供、固定資産税や上下水道料金の減免などの公的支援を受けることができます。

さらに、県からも知事見舞金の支給、生活福祉資金や災害復旧資金の貸し付け、高校授業料の減免などを受けられる可能性があります。また、ご自宅の火災保険、共済による保険金請求が可能かも確認するとよいでしょう。

以上の他にも、税や住宅ローンの減免などさまざまな支援制度を利用できる場合があります。県弁護士会でも、2023年の豪雨災害に関し無料電話相談を実施しているほか、災害ADR(災害に起因する民事上の紛争について弁護士が間に入り解決を支援する手続き)を実施したり、被災された皆様に役立つ情報をホームページ(https://tomiben.jp/)で随時紹介したりしています。 分からないことや困ったことがある場合はもちろん、ご自身に有益な支援制度が何かを知ることができますので、各種相談機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか。