北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

生活保護利用のポイントは?―収入と資産を確認

2020.04.11

北日本新聞掲載 2020年4月11日

執筆者:西山貞義弁護士

1人で生活しています。病気で仕事を退職せざるを得なくなり、収入を失ってしまいました。預貯金などすぐに活用できる資産もなく、困っています。生活保護を利用したいのですが、どのような状態の人が利用できるのでしょうか。私は親から相続した持ち家や自動車がありますが、利用できるでしょうか。

病気は誰にでも起こりうることです。こういうときこそ、社会で支え合うことが大切です。

日本国憲法25条1項は全ての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)を保障しています。この生存権を保障するための制度が生活保護です。

生活保護を利用するためには、まず収入が一定の水準以下であることが必要です。国は地域や世帯構成などに応じて「最低生活費」という基準を設けています。

収入がこの最低生活費より少ない場合、生活保護を利用できます。

富山市の一人暮らし世帯では家賃を含め、おおむね月額10万円が最低生活費です。当然、この金額は世帯構成などに応じて大きく変わります。

また、生活保護には資産要件もあります。例えば、預貯金については、1カ月分の最低生活費より少ない金額である必要があります。資産は預貯金だけではないのですが、収入と預貯金額が分かれば、生活保護を利用できるかどうか、ある程度分かります。

また、持ち家については、国はよほど高価な物件でなければ保有を認めています。自動車については、国は保有を原則認めていないのですが、一定の要件を満たす人については保有を認めています。

あなたの場合、収入もなく、預貯金などすぐに活用できる資産もないということですから、収入と資産の面では生活保護の利用に問題はなさそうです。家や自動車を持っていても、生活保護を利用できる可能性がありますので、積極的に考えるべきでしょう。

ただ、生活保護にはさまざまなルールがありますので、利用できるかどうかを自分で正確に判断することは困難です。まずは、生活保護申請の窓口となる最寄りの市役所や町村役場に相談することをお勧めします。

県弁護士会の生活保護無料電話相談もご利用ください。電話0120(783)094(毎週火曜午後5時半~同7時半)。