決議文・意見書・会長声明

司法修習費用の貸与制の施行を延期する法律成立にあたっての会長声明

2011.01.31

2010(平成22)年11月26日、司法修習生に対する貸与制の施行を1年間延期する法律が国会で可決された。これにより、同年11月27日から司法修習を開始した新第64期司法修習生に対して、従前の制度と同様の修習費用が支給されることとなった。

今回の法改正の内容は、給費制の完全な復活とはならなかったものの、当会が、日本弁護士連合会とともに、司法修習費用の給費制の維持が重要であることを訴えてきたことが、世論の一定の理解を得たものと評価できる。この法改正のための活動にご協力いただいた市民の皆様、各政党・国会議員の方々、そして、最高裁判所・法務省の各位のご理解とご協力に心から感謝申し上げる。

そもそも法曹(裁判官、検察官、弁護士)は、国の予算を用いて養成すべき社会資源であり、給費制が廃止されて、経済的な理由から法曹への道を断念せざるを得ない事態は避けなければならない。

また、今回の法改正においては、附帯決議において、政府及び最高裁判所に対し、「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」も求められている。

そこで、当会は、政府及び最高裁判所に対して、法曹養成における財政的支援の在り方や法曹養成制度全体の在り方を検討する場を速やかに設けるよう求めるとともに、国が責任を持って法律家を養成する制度を守り発展させるために、給費制の恒久的な実現に向けて、市民の皆様の理解を得られるよう引き続き努力する覚悟である。

2011(平成23)年1月31日

富山県弁護士会  会長 山本賢治