北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

子どもが自転車事故を起こさないか心配-家族で話し合い 保険加入も

2022.04.09

北日本新聞掲載 2022年4月9日

執筆者:堀岡和正弁護士

子どもが自転車に乗っています。自転車が歩行者と衝突して大けがを負わせたというニュースを見ると、心配になります。親の責任や親としてできることを教えてください。

自転車と歩行者が衝突した場合、自転車側の過失が否定されることは少ないでしょう。過失が認められる場合、民事責任と刑事責任が問題となります。民事責任は、子に責任能力(自分の行為により法的な責任が発生するかどうかを判断する能力)がある場合には、子自身が損害賠償責任を負います。責任能力の有無は、裁判例では12歳程度が目安とされているようです。

親の責任については▽子に責任能力がない場合は、親が監督義務を果たしていれば損害賠償責任を負わない▽子に責任能力がある場合は、親が監督義務を怠っていれば損害賠償責任を負う-とされています。しかし、いずれの場合も訴訟では、親が監督義務を果たしていなかったとして、親の責任が認められるケースが多いようです。実例として、当時11歳の少年が自転車で走行中、前から来た歩行者と正面衝突した事故で、少年の親に9千万円以上の損害賠償を命じた判決があります。

自転車事故による賠償責任を補償する保険(自転車保険)が販売されています。自動車保険などの個人賠償責任特約でもカバーされています。富山県では、条例で自転車保険加入の努力義務が定められています。これらの保険では、加害事故で保険会社が被害者との示談を代行してくれる特約や、被害事故の場合の弁護士費用をカバーしてくれる特約もあります。

刑事責任については、子が14歳以上であれば、過失致死傷罪が成立する可能性があります(過失が重ければ重過失致死傷罪)。実例として右手に飲み物、左手にスマートフォンを持ち、イヤホンをして自転車に乗っていた女子大生が、歩行者に衝突して死亡させた事故について、重過失致死罪で禁固2年(執行猶予4年)の刑を認めた判決があります。

自転車運転に伴う責任について、一度ご家族で話し合ってはいかがでしょうか。自転車保険の加入もご検討ください。