北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

匿名掲示板サイトに悪口が書かれていた-管理者に削除を依頼

2019.01.12

北日本新聞掲載 2019年1月12日

執筆者:吉川美保弁護士

先日、インターネット上の匿名掲示板サイトに私の悪口がいくつか書き込まれているのを発見しました。全く根拠のないことです。気持ち悪いので、削除できないでしょうか。また、書いた人に心当たりがあるものもあれば、全く分からないものもあります。書き込んだ人に何か請求できないでしょうか。

ご自身で匿名掲示板サイトのオンラインフォームなどを通じて投稿の削除を依頼することは可能です。ただし、削除の可否はサイトの管理者の判断によります。投稿者の表現の自由という対立する利益があるので、削除できる投稿とできない投稿があります。削除できる投稿の代表的なものは、名誉毀損やプライバシーの侵害です。また、削除依頼が公表されるサイトもあります。公表の有無など手続をよく理解した上で削除依頼しましょう。

インターネットを悪用した人権侵害については、法務局の人権相談窓口で相談することもできます。

削除依頼の方法が分からない、あるいは管理者が削除依頼に応じない場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。管理者に対する削除交渉を弁護士に依頼することが可能ですし、管理者が削除依頼や交渉に応じない場合には裁判手続による必要があるからです。インターネットを悪用した人権侵害の背景には、男女問題や職場内でのトラブルなどの法的紛争があることも少なくなく、そのような相談も併せてされるとよいでしょう。

名誉毀損やプライバシー侵害の投稿をした加害者には、民事上は慰謝料の請求を、刑事上は名誉毀損罪などの処罰を求めることが考えられます。投稿者を特定するには、プロバイダーが保存するログが必要であり、ログの保存期間は長くても半年程度ですので、速やかに手続を進めなければなりません。民事上の責任を問うための投稿者の特定には、裁判手続を経なければならないことが多いので、早めに弁護士に相談ください。

以上の裁判手続については取り扱っていない弁護士もいます。相談前に取り扱いの有無をご確認いただくことをお勧めいたします。