北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

パワハラによるうつ病で補償を求めたい-事実裏付ける証拠準備

2021.02.13

北日本新聞掲載 2021年2月13日

執筆者:大原弘之弁護士

Q:長年会社の上司のひどいパワハラを受けてきたせいで、うつ病になって働けなくなってしまいました。収入が減り、補償を求めたいのですが、どうすればよいでしょうか。

A:労働者が仕事中にけがをされたような場合には労働災害として、労災保険から支払いを受けられたり、会社から賠償を受けられたりすることはご存じかと思います。

しかし、仕事中のけがとは違い、うつ病などの精神疾患の場合はすぐに発病するわけではないので何が原因でそうなったのか、分からなくなってしまうことが少なくありません。仕事に限らず、いろいろなストレスが絡み合って発症するのではないかと考えられており、仕事が原因でうつ病が発病したというには医学的知識を必要とすることが多く、なかなか難しいところがあります。

そこで、うつ病などの精神疾患が仕事によるものかどうかを迅速で定型的に判断するため、厚生労働省は精神障害の認定基準を定めています。労災と認定されるためには、発病前概ね6ヶ月の間、業務による強い心理的負荷がある出来事があったことなどが必要になってきます。

労働基準監督署が、そのパワハラが強い心理的負荷に当たるかどうかを調査をして判断します。昨年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されたことを踏まえ、この認定基準にパワハラの類型が追加されました。

例えば、上司から病院で治療をしなくてはならないほどの暴行を受けるなど身体に対する攻撃があった場合▽上司などによって必要以上に長時間にわたり厳しく叱られた場合▽他の労働者の目の前で大声での威圧的に叱られたなど精神的攻撃がしつこく行われた場合-などが心理的負荷が強いとされています。これに当たらなくても、会社に相談しても適切に対応をしてもらえず改善されなかった場合なども、心理的負荷が強いものと分類されています。

労働基準監督署は証拠によって事実認定をします。どんなにひどいパワハラがあっても、証拠がなければ分かりませんから、できる範囲でパワハラを裏付ける証拠を準備しておくと良いでしょう。

労災と認定されれば、労災保険から治療費や休業損害、後遺障害が残った場合にはその障害の程度に応じて、障害補償年金、または障害補償一時金などの支払いを受けられます。また、会社や上司に対し、慰謝料などの請求ができる場合もあります。詳しくは弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。