北日本新聞掲載『くらしの法律Q&A』

離婚後の住宅ローンの返済は-将来リスク考える

2021.03.13

北日本新聞掲載 2021年3月13日

執筆者:浦田秀幸弁護士

Q:妻と離婚することになりました。住宅ローンが残っている自宅を妻が欲しがっているので、譲ってもいいのですが、今後の住宅ローンの返済はどうなるのでしょうか。

A:離婚する際に夫婦で築いた財産を分けることを「財産分与」と言います。

例えば、夫婦が共同で借り主となって住宅ローンを組み、夫婦共有名義の自宅を購入した場合は、その自宅も夫婦で築いた財産といえますので、財産分与の対象になります。

財産分与は、夫婦が話し合って決めることができますので、自宅を夫婦のどちらが所有するかは、夫婦の話し合いで決めることができます。しかし、住宅ローンについてはこのようなわけにはいきません。住宅ローンは夫婦だけの問題ではなく、銀行も当事者になるからです。

先ほどの例で「夫婦共有名義の自宅を妻単独の名義に変更するので、住宅ローンについても、夫は借り主から抜け、妻だけが借り主となる」と夫婦で話し合ったとしても、銀行が同意しない限り、住宅ローンの借り主を妻単独に変更することはできません。そして、銀行は、夫婦両方に住宅ローンの返済を請求できた方が有利ですので、なかなか借り主の変更には応じてくれないのが実情です。

妻に十分な収入があり、妻単独で新たな融資を受けることができる場合は、借り換えをすることによって、夫が住宅ローンを負うことはなくなりますが、新たな融資を受けることは簡単ではありません。

借り主の変更について銀行の同意が得られない場合は、取りあえず住宅ローンの返済口座を妻名義の口座に変更する方法が考えられます。このようにすれば、自宅の所有者となる妻が、今後の住宅ローンも負担していくことができます。

しかし、夫が住宅ローンの借り主であることに変わりはありません。今後、妻が住宅ローンを返済できなくなった場合は、夫に対して住宅ローンの請求が届くことになります。「離婚した」「今は住んでいない」と言っても、住宅ローンの責任を免れることはできません。

住宅ローンが残っている場合の財産分与は、将来のリスクについてもよく考える必要があります。また、自宅以外にも財産分与対象の財産がある場合は、それも含めて話し合う必要があり、どのような方法が最適であるかは、家庭の事情によってさまざまです。

まずは、どのような解決方法があるかを弁護士に相談されることをお勧めします。