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公判前整理手続マニュアル

Q1−3 公判前整理手続はどのような流れで進みますか。

1 公判前整理手続の開始
公判前整理手続は裁判所が当事者の意見を聞いた上、決定により開始されます(法316の2Ⅰ)。(なお、最高検は平成19年4月以降、全ての裁判員裁判対象事件につき公判前整理手続に付す旨の意見を出す方針を決めています)
 また、裁判員法施行後は、裁判員裁判対象事件では必要的です(裁判員法49)。
2 証拠開示及び主張明示
公判前整理手続の主張明示及び証拠開示は下記の流れで行われます。
(1) 証拠開示第1段階−検察官の証明予定事実と請求証拠等(法316の13,14)
まず、検察官が証明予定事実(ストーリー)及び証拠を明らかにします。
(2) 証拠開示第2段階−類型証拠開示(法316の15Ⅰ各号)
被告人側は、検察官請求証拠の証明力判断のため他の検察官手持ち証拠を開示して欲しいと考える場合、検察官手持ち証拠について開示請求を行います。
(3) 被告人側の予定主張明示
その後、被告人側が予定している法律上及び事実上の主張を明示し(「予定主張明示」)、証拠調べ請求を行います。
(4) 証拠開示第3段階−主張関連証拠開示(法316の20)
さらに、被告人側は検察官手持ち証拠の中に自らの主張と関連する証拠があると考える場合には、その検察官手持ち証拠の開示請求を行います。
(5) 裁定制度(法316の25以下)
証拠開示請求をしたものの相手方がこれに応じない場合に、開示請求側が開示を求めるべく裁判所に対し開示に関する裁定を求めることができます(他方、開示義務者側が申し立てる場合もあります)。
3 その他公判前整理手続で行われること
(1) 法316の5列挙事由
公判前整理手続では、上記以外に法316の5列挙事由(証拠決定等)が行われることが予定されています。なお、同条各号は例示列挙と解されています。
(2) 争点の確認(法316の24)
裁判所は、公判前整理手続の終了にあたり、両当事者との間で争点及び証拠の整理の結果を確認します。