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公判前整理手続マニュアル

Q8−1 主張関連証拠開示が活用されるべき事案には、どのようなものがありますか。

1 主張関連証拠の内容と開示請求の時期
 被告人・弁護人から開示を求める主張関連証拠とは、被告人・弁護人の予定主張に関連すると認められるもののことです(法316の20)。従って、予定主張を明示した後でなければ、開示請求をすることができません。
  2 主張関連証拠が活用できる場合
 主張関連証拠開示は、特に、類型証拠としての開示が困難な証拠の開示を求める場合に活用することができます*1
   (1) 証拠の内容による活用の場面
 検察官の主張と併存しうる消極的間接事実、自首の成否に関わる事情、責任能力の有無に関する事情、任意性・関連性・違法収集証拠等証拠能力に関する事情は、必ずしも検察官が積極的に証明しようとしないので、検察官の証明予定事実に記載されず、対応する証拠も検察官から請求されないことが多いため、類型証拠としての開示が難しい場合があります。
   (2) 証拠の種類による活用の場面
 たとえば、共犯者の取調べ状況記録書面(取調状況報告書)は、類型証拠(法316の15Ⅰ⑧)には該当しませんが、共謀を争うとの予定主張を明示し、共犯者の供述調書の信用性を争うために、共犯者の取調状況報告書の開示を求めるといった場合です。
 また、類型証拠として開示を求めた供述録取書等が、証人(予定者)ではないため5号に該当せず、6号にも該当しないとして開示されなかった場合にも、主張関連証拠として改めて開示請求をすることが可能です。
  3 証拠開示による予定主張の具体化
 開示を受けた後、予定主張を変更することは可能です。
 開示を求める証拠に何が書かれているか予め分からない場合もありますから、当初は(関連性や重要性を満たしうる限りの)概括的・抽象的な予定主張を行い、主張関連証拠の開示を受けた後に、具体的な主張を行うこともできます。