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公判前整理手続マニュアル

Q7−1 今回の改正で、被告人側が「予定主張」を求められることになったのは何故ですか。

1 公判前整理手続では、「被告人又は弁護人は、…その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、…、これを明らかにしなくてはな」らず(法316の17Ⅰ)、「事件の争点及び証拠の整理に必要な事項を具体的かつ簡潔に明示しなければならな」りません(規則217の19Ⅱ)。
   予定主張明示は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため(法316の3)、検察官からの証明予定事実記載書面、請求証拠の開示及び類型証拠開示に基づき、事件の争点や証拠の整理に必要とされる被告人側の主張を明らかにさせるという目的から求められています。
2 また、被告人側の予定主張は、法316条の20に規定する主張関連証拠開示を受ける前提にもなりますので、その点でも明示することが必要となってきます。
3 更に、被告人側の証明予定事実は、316条の17第2項に規定する証拠調べの前提となる事実の主張となりますが、公判前整理手続において請求がされなかった証拠については、やむを得ない事由で請求できなかった場合を除いて公判期日での証拠請求ができないとされていることや(法316の32Ⅰ)、請求した証拠の取調の必要性を基礎付ける点でも、証明予定事実の明示が必要です。
4 もっとも、「その他…事実上及び法律上の主張」について、被告人側はどの程度の予定主張を明示すべきかが問題となります。
 「事件の争点や証拠の整理に必要な事項」を「具体的かつ簡潔に」明示すべきという範囲は、被告人の黙秘権等との関連で争いがあるだけでなく、予定主張をすることが権利としても考えられているため、具体的に被告人側が行う予定主張の程度はケースバイケースで考えていかなくてはなりません。
* 証拠請求の制限と予定主張の明示とは関係がないと思われます。