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公判前整理手続マニュアル

Q4−1 検察官から「証明予定事実記載書面」が提出されました。どのような対応をすればいいですか?

1 公判前整理手続においては、はじめに検察官から「証明予定事実記載書面」が提出され、あわせて証拠調べ請求、請求証拠の開示が行われます(法316の13)。
2 証明予定事実とは、「公判期日において証拠により証明しようとする事実」です。その記載にあたっては「事件の争点及び証拠の整理に必要な事項を具体的 かつ簡潔に明示」し(規則217の19)、「事実とこれを証明するために用いる主要な証拠との関係を具体的に明示」しなければなりません(同217の 20)。
現在、検察官の作成する証明予定事実記載書面は、従来の冒頭陳述書と形式的にはあまり変わらず、ストーリー形式です。但し、右の欄には、証拠との対応関係が記載されています。
3 もっとも、実際に提出される証明予定事実記載書面は、事実と証拠との対応関係が非常にあいまいなものが多く、上記規定に沿った記載は必ずしもなされていないのが実情です。そのような書面が提出された場合には、弁護人は積極的に求釈明すべきです。
公訴事実に不明な部分があり、検察官証明予定事実においてもなお不明な場合には、あらためて求釈明する必要があります。
4 そして、検察官証明予定事実に対して、弁護人が認否をする義務はなく、争いとする点を簡潔に、弁護側予定主張記載書面に記載していくことになります。事案によっては、検察官の描くストーリーとは別のもの(アナザストーリー)を記載することが有効でしょう。