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公判前整理手続マニュアル

Q1−2 公判前整理手続が従来の公判手続と最も異なる点は何ですか。

1 従来の公判手続と最も異なる点
公判前整理手続は以下①②の特徴を有しており、それが従来の公判手続との大きな違いです。
①検察官が段階的な証拠開示を行う点
②被告人側が公判前に予定主張を明示し、証拠調べ請求をすべき点
2(1) 従前の実務においては、被告人側の防御方針(主張・立証の方針)は検察官立証終了後に提示することもできました。
これに対して、公判前整理手続に付された場合、争点及び証拠の整理のため被告人側は公判前整理手続段階で予定主張の明示と証拠調べ請求を行わなくてはならず(法316の17)(②)、原則として公判で新たな証拠調べ請求をすることはできません(法316の32Ⅰ)。
(2) しかし、これでは従前に比して被告人側の防御が不十分になります。
そこで、改正刑訴法は公判前整理手続において被告人側に検察官手持ち証拠の開示を従前より広く認め(①)、もって被告人側の防御方針の策定を可能にさせたのです。
(3) このように、公判前整理手続においては「争点及び証拠の整理」を実現するために、早期に検察官及び被告人側双方の主張及び立証方針を明らかにさせる一方(②)、被告人側の防御のために被告人側に証拠開示請求権を広く認めました(①)。
3 もちろん、上記以外にも従来の公判手続との違いはありますが、上記①②の点が最も異なる点と言えるでしょう。