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公判前整理手続マニュアル

Q1−1 公判前整理手続の概略を教えて下さい。

1 公判前整理手続とは、「充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行う」ため、第1回公判期日前に、事件の争点と証拠を整理するための公判準備手続です(法316の2Ⅰ)。
2 概略
(1) 公判前整理手続の創設が裁判員制度と密接に結びついていること
公判前整理手続の創設は裁判員制度と密接に結びついており、公判前整理手続の目的は、同手続により争点及び証拠の整理を行い、もって、公判段階で争点中心 の充実審理を連日的開廷(法281の6Ⅰ参照)によって迅速に行い、これにより、将来の裁判員裁判を実現する点にあると言われています(ジュリ1198号 146頁、ジュリ1268号73頁、季刊刑事弁護第41号65頁参照)。
このように、同手続の中心は「争点の整理」と「証拠の整理」にあると言えます。そこで、以下では同手続の概略として、争点整理と証拠整理について簡単に説明します(なお、これらの詳細については設問Q1−5のとおりです)。
(2) 争点の整理
争点の整理のため、検察官が主張するだけではなく(証明予定事実)、被告人側も予定している主張を明示しなければなりません(予定主張明示)。その後、両当事者における主張の追加・変更を経て、「争点の整理」を行います。
(3) 証拠の整理
証拠の整理のため、検察官は下記①②③の段階的な証拠開示を行います。
①請求証拠等の開示
(検察官が証明予定事実を明らかにし、同時に請求証拠も開示します)
②いわゆる類型証拠開示
③いわゆる主張関連証拠開示
(被告人側は予定主張に関連する証拠の開示を請求できます)
両当事者はこの段階的な証拠開示を通じて証拠調べ請求を行います。これを受けて、裁判所は証拠決定をし、「証拠の整理」をします。
(なお、上記の段階的証拠開示の詳細についてはQ1−3のとおりです。)